さて、昨日からの続き。
【 話を聞いてくれない84歳 】
『 自分の声が響く 』
『 言葉の聞き取りも悪い 』
『 聞こえにくさも高度のレベル』
と、3つの問題点があったDさん(84歳)。
耳あな式から、耳掛け式補聴器への変更を検討してみました。
加えて、" 楕円型の耳栓 "も併用します。補聴器メーカーに入社したばかり頃は、『 自分の声が響く 』と言われるたびに、ドキドキしていた(苦笑)のですが、
最近では、新型の補聴器を含め、対応できる術が格段に増えています。
===================================================
楕円型の耳栓の特徴は、
先端が先細りになっており、耳の中で接触部分が少ない。
ハウリング(=耳元でピーピーなる音)がしにくいように、
外側部分は、大きな傘があること。
(※中と外、合計2個の傘があります。)
などが挙げられます
===================================================
Dさんのように、即効性を求めるお客様には、だ円型耳栓は有効策。
この耳栓をつけた耳掛け補聴器を、装着したところ、『 これならいけそう! 』 とDさんのご感想。
その結果、
補聴器の機種変更を行いました。ようやく、これで、いけるかな?と思ったのですが、
残念ながら、それでは終わりません(苦笑)
『 高度の聞こえにくさ 』 も問題点にあるからです。
ボリュームが小さい時は、自分の声の響きも少ないのですが、大きくした場合には、自分の声の響きならびに、前述のハウリングの問題が残ります。
色々考えた結果、2段構えで対応することにしました。
1、補聴器に慣れていない現状を打破するために、当面楕円耳栓で。
ハウリングせず、正面の会話が聞こえるレベルで音量調整。
※自分の声を優先するため、音量は控えめにしている旨、説明。
2、時間が経過したのち、通常の耳栓に変更し、音量アップする。
※今後の流れを説明
通常であれば、こういった流れで、じっくり、すすめてていくのですが、このDさんの場合、即効性がないと満足していただけません。。。。
『 この補聴器は不良品 』
『 能書きはええんや。はよ直せよ 』
『 もう返品や 』
『 耳のせいにするな 』
いつものフレーズ、連呼されます。(苦笑)
ちょっと予断になりますが、
その間、
実際にDさんに補聴器を販売したお店の方((兼業店の方でした)は、いつもどおり、別のお客さん接客しており、このやり取りにはノータッチでした・・・
結果、
Dさんとは、この後も、更に4回にわたって対応します。途中、音質変更や、音量優先で、通常の耳栓に変更するなど、試しましたが、
やはり、楕円耳栓でないと、自分の声が響く、となります。また、大変残念なことに、
途中で、使っていた補聴器を紛失されました。
(やっと、使ってもらえるようになったのに。。。)
でも、そのDさん、
なんと、全く同じ補聴器を自ら再度、購入されます。
この事実、客観的に考えますと、一定の効果は感じてもらえたのかな?とも思います。
(言葉に出しておっしゃられませんが・・・)
そして、現在も、お店に来店されているようです。
しかし、気に入らないことがあると、
例の 『 この補聴器は不良品 』 のコメント言いながら・・・
<このケースを通じて学んだこと>
当たり前のことになりますが、アフター調整が必要な補聴器はお互いの信頼関係がないと、うまくいかない。
※このDさん、自宅に帰ると、ご自身で、 耳栓を楕円でない、他のものに交換されたもしていました。
多くの事例をみている、販売店側(=このケースではメーカー調整員の私)の経験・ノウハウをある程度、信用していただくところから、全ては始まります。
もし、最初から信用できないのであれば、そのお店では買わないこと、これ、重要ですね。
長文になりましたが、良い話ばかりでなく、こういった事例も知っておいて損はないかと思います。
関わる全ての人々を、補聴器を通じて、よりハッピーに!
コメント